北日本四政経懇話会

にいかわ政経懇話会

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にいかわ政経懇話会7月例会

「大相撲と行司の世界」

【日時】平成30年7月19日(木)正午から
【会場】ホテルグランミラージュ
【講師】第36代 木村 庄之助氏(元立行司)
【演題】「大相撲と行司の世界」
 にいかわ政経懇話会の7月例会は19日、魚津市のホテルグランミラージュで開かれ、元大相撲立行司の第36代木村庄之助氏が「大相撲と行司の世界」をテーマに講演した。厳しい縦社会で覚えることも多く、入門10年目に辞めることを考えたが、心の師と仰ぐ人に励まされ「やる気、根気、負けん気でてっぺんまで行ってやる、と頑張った」と振り返った。
 富山は相撲どころで、太刀山という大横綱が出ているし、琴ケ梅もいた。現在は朝乃山が活躍している。けがに気を付けて精進すれば上に行けるだろう。相撲勘もあり、男前だ。皆さんに8月2日の大相撲魚津場所を盛り上げてもらいたい。

♢思いがけない入門
 私は15歳で行司として井筒部屋に入門したが、なりたくてなったのではない。両親と親しくしていた元力士に、体は小さいが相撲好きなら行司はどうかと。断ったつもりだったが、両親は了承済みで逆らえなかった。
 行司は45人の定員でさまざまな仕事を行っている。場内放送もその一つで、担当が土俵に上がる合間に交代で受け持つ。80以上ある決まり手を覚え、瞬時に判断しなければならない。力士の名前や出身地を間違えないのは当たり前だが、一番大事なのはアクセントだ。なまりが強いとクレームがつく。
 取組の編成の手助けも仕事で、審判部で午前11時に翌日の編成を幕下や序ノ口も含めて全てやる。近く魚津場所があるが、地方巡業に携わる約350人の移動手段の確保なども行司が行っており、本場所が終わっても仕事は多い。
 一番大事なのは番付表を書くことで、全ての行司が書けなくてはならない。7本ぐらいの筆を使い分け、最も小さい序ノ口の部分は1㍉の幅に文字を書く。枠の部分も手書きだ。優秀と認められれば、番付書記に任命される。努力を重ね、私は戦後6人目の番付書きに選ばれた。

♢厳しい世界
 行司はなかなか出世できず、途中で辞めていく。力士と同じで階級の世界だ。十両になると足袋を履き、三役格は草履を履き印籠をつける。最高位の立行司は刀を差して土俵に上がり、間違えたら切腹するという覚悟を示す。それぞれ軍配やはかまの飾りも違う。
 50年近く行司を務めたが、25歳の時に辞めたいと強く思った。いつも相談をしていた心の師の「10年間を無駄にするのか。頂点を極めた人はみんな努力している」という言葉が胸に響いた。行司一筋でてっぺんまで行ってやろうと心に決めた。足袋を履けるまで入門から22年かかった。

※新入・交代会員を紹介
 例会では新入会員として扇谷一郎扇谷医院院長、交代会員として藤井文祥北陸電力魚津支店長が紹介された。

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