にいかわ政経懇話会
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にいかわ政経懇話会3月例会
地域を醸す一日一合の純米酒
【日時】令和2年3月26日(木)正午~
【会場】ホテルグランミラージュ
【講師】山本 洋子氏(日本酒と食のジャーナリスト)
【演題】地域を醸す一日一合の純米酒
にいかわ政経懇話会の総会と3月例会は26日、魚津市のホテルグランミラージュで開かれた。日本酒と食のジャーナリストの山本洋子氏が「地域を醸す一日一合の純米酒」と題して講演。「自然や環境、伝統産業と深くつながっている日本酒を飲むことは、大地をよみがえらせて日本を守ることになる」と語った。
♢飲むことは日本を守る
清流が守られている「水の王国」の富山県は、おいしい酒を醸す条件が整っている。県民は酒に合う魚にも目がなく、昆布締めのように工夫を凝らして味わっている。また、富山県の酒蔵では、酒造りに適した「酒造好適米」の使用率が、全国平均をはるかに上回っているのが特徴だ。
ワインに比べて意識されにくいが、日本酒も産地や品種によって味が明確に異なる。酒米サミットが開かれるなど栽培が盛んな南砺市の米を好んで使う酒蔵は全国にあり、飲んでみるとやはりおいしい。富山県生まれの酒米「富の香」は大吟醸に向いており、いろんな酒蔵が使っている。酒米は背が高く大粒で倒れやすいため、農家の意識や技術が問われる。腕のいい酒蔵ほど米を選ぶので、米の産地・種類を明確に打ち出した酒を選ぶのがお勧めだ。
一升瓶1本の純米酒を造るために必要な米の量は、およそ水田1坪分となる。「1坪分を飲んだ」とイメージし、水田の存在に思いをはせながら味わってほしい。
知人が水田に使う農薬を減らし続けたところ、虫や鳥が戻って生態系がよみがえった。貯水して災害を軽減したり、二酸化炭素を削減したりと、水田の役割は幅広い。計算したところ、20歳以上の国民が1日1合の純米酒を飲むと、米の消費が促進され減反解消につながる。水田は、人と自然が共生する場であり、日本人の生活と密接に結び付いている。減反してしまうのはもったいない。
日本酒は伝統産業との関わりも深い。酒蔵で樽(たる)などにスギを使うほか、酒器も漆や木、陶器など多種多様だ。幅広い分野とつながりのある日本酒を飲むことは、国土を潤すことにつながる。
例会に先立って総会があり、会長の忠田北日本新聞社会長があいさつし、2020年度の事業計画を承認した。
例会では、新入会員として青山圭一青山内科院長、交代会員として新夕秀典ビニフレーム工業社長が紹介された。
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