北日本四政経懇話会

にいかわ政経懇話会

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にいかわ政経懇話会12月例会

「憲法改正論議を考える」

【日時】平成30年12月11日(火)正午から
【会場】ホテルグランミラージュ
【講師】木村 草太氏(首都大学東京教授)
【演題】「憲法改正論議を考える」
 にいかわ政経懇話会12月例会が11日、魚津市のホテルグランミラージュであり、首都大学東京教授の木村草太氏が「憲法改正論議を考える」と題して講演した。自民党の改憲4項目について問題点を指摘し、「9条への自衛隊明記は集団的自衛権が争点になる」と述べた。

♢争点は集団的自衛権
 昨年の衆院選で自民党は、緊急事態条項、参院選の「合区」解消、教育の無償化、自衛隊の明記の改憲4項目を掲げた。
 緊急事態条項の中身は緊急時の政令制定と国会議員の任期延長だ。緊急政令の制定は現行法でも否定されておらず、提案する意味が分からない。任期延長については、議員がお手盛りで自分たちの任期を延ばしてしまう危険がある。乱用防止の視点があまりにも弱いといえる。
 参院選の合区解消については、対象の4県などを除けば批判が多い。参議院は地域代表議員でなく、全国民を代表する議員と憲法で規定しているので、合区はむしろ当たり前という声もある。もっと真剣に議論する必要がある。
 高等教育の無償化にも疑問がある。大学教育までを無償化の対象にするとしているが、現行憲法でも高等教育を無償化することを禁じているわけではない。従って憲法を変えなくても予算化して法律をつくれば高等教育は無償化できる。
 自衛隊を憲法に明記する場合、どの範囲で武力行使できるのかを明らかにしないと、自衛隊が何のための組織か定義できないことになる。それには①国際法上許される全ての武力行使を認める②個別的自衛権プラス集団的自衛権限定容認③個別的自衛権-の3案が考えられるが、①は支持が少ない。③は従来型の専守防衛だが、発議されれば安保法制の憲法違反がいま以上に明確になる。
 ②の集団的自衛権の行使容認については国論二分の状況にあり、もし発議されれば2015年の安保法制の議論が蒸し返されるだろう。それは現政権にとっては必ずしも好ましくない状況といえる。
 9条への自衛隊明記の争点は、自衛隊の存在そのものというより、集団的自衛権にある。このような視野で憲法改正論議を見ていただければ、いろんなことが見えてくると思う。

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