北日本四政経懇話会

高岡政経懇話会

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高岡政経懇話会9月例会

「自民党総裁選と日本政治の行方」

【日時】平成30年9月19日(水)正午から
【会場】ホテルニューオータニ高岡
【講師】中北 浩爾氏(一橋大学大学院社会学研究科教授)
【演題】「自民党総裁選と日本政治の行方」
 高岡政経懇話会の9月例会は19日、高岡市のホテルニューオータニ高岡で開かれ、一橋大大学院社会学研究科の中北浩爾(こうじ)教授が「自民党総裁選と日本政治の行方」と題して講演した。野党が分散化して弱くなっている現状では「自民党一強」はしばらく続くとし、その中で民主主義国家としてバランスを取っていくためには「自民党内で多元性を確保することが必要であり、20日の総裁選投開票での党員票の動きに注目したい」と語った。

◇党内の結束が前提
「安倍自民党一強」と言われるが、他党に対する「自民党一強」と、党内での「安倍一強」の二つの意味がある。
 安倍一強を考えるとき、小泉政権と比較してみると差は明らかだ。小泉純一郎元首相の主要な敵は当時、党内の抵抗勢力だった。安倍首相にとっては、どのように野党に勝つかが関心事であり、党内を結束させることが大前提。野党になりたくないという議員たちの強烈な欲求と共鳴し、安倍一強の構図が出来上がった。人事でも党内の融和を図り、派閥の領袖(りょうしゅう)クラスを受け入れて「うるさ方」を重要ポストに就けている。
 総裁選で安倍3選はほぼ確実だ。派閥の圧倒的な支持、国政選挙5連勝の実績、好調な経済など、引きずり落とす理由がない。
 地方での石破茂元幹事長の人気は健在で、政策のアピール力も高く、党員票で健闘しているという情報もあるが、かつての小泉元首相のような人気はない。どれだけ党員票を取り込めるかによって、次の人事にも影響してくる。
 安倍首相の弱点はポスト安倍がいないことだ。官邸主導で政策を決めるため、閣僚の影が薄い。総裁選後の人事がポスト安倍にも関わってくるため、人選は難しくなる。
 政策も難航しそうだ。アベノミクスは拡張的な経済政策によるつけが回り、今後のリスクとして残る可能性がある。憲法改正のハードルも低くない。

◇分厚い支持基盤
 国政選挙で安定的な勝利を重ねており、自民党一強は続きそうだ。支持基盤を重視し、低い投票率で勝利している。地方議員と友好団体という二つの分厚い支持基盤はいずれもしっかりしている。公明党とは候補者調整や票の融通といった選挙協力をしており、連立の解消は当面ない。
 今後の鍵を握るのが野党の立て直しだ。結束した上で無党派層の追い風を受ければ自民党も危うい。ただ、野党は分散化して惨憺(さんたん)たる現状で、参院選までに再結集することは難しい。野党による政権交代の可能性が低いとすれば、自民一強の党内で切磋琢磨(せっさたくま)しないと民主主義がおかしくなる。総裁選で一般の党員がどれだけバランス感覚を働かせるかに注目したい。

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