北日本四政経懇話会

にいかわ政経懇話会11月例会

「ChatGPTの社会に与えるインパクトと活用戦略」

【日時】令和5年11月28日(火)正午~
【会場】ホテルアクア黒部
【講師】栗原聡氏(慶応義塾大学理工学部教授、同大共生知能創発社会研究センター長)
【演題】「ChatGPTの社会に与えるインパクトと活用戦略」
にいかわ政経懇話会11月例会は28日、黒部市のホテルアクア黒部で開き、慶応大理工学部教授の栗原聡氏が「Chat(チャット)GPTの社会に与えるインパクトと活用戦略」と題して講演した。誰もが人工知能(AI)を利用できる時代において、使う人と使わない人の格差が広がると指摘し「これまで以上にあるべき世界を想像する能力が重要になる」と述べた。
 AI研究は約70年前に始まったが、過去2度のブームでは成果が実用されるまでに至らなかった。2010年代からが第3次ブームとされ、「ディープラーニング」「生成AI」などが注目を集める。コンピューターやインターネットが整備されたことで、これまでの理論や考え方が実装できるようになった。AIは特別な技術を持った人しか扱えなかったが、対話型人工知能「チャットGPT」は文章を入力するだけで利用できるもので、AIの民主化と言える。
 AIの進化で、人間が自身の創造力を発揮する可能性が広がる。偽の映像や写真が作られる負の側面もあるが、生成AIは日本経済が浮揚する起爆剤になるだろう。膨大な文書の読み込みや分析などが必要な作業はAIに任せることで時短につながる。既に実証導入した神奈川県横須賀市では、職員の8割以上が仕事の効率が上がったことを実感したという。クリエーターとAIが共同で制作した漫画「ブラック・ジャック」の新作も公開されたばかりだ。
 AIは人間の創造をサポートしてくれるが、ただ受け取るだけでは思考力の低下を招く。AIを使えるか使えないかで格差も生まれる。すぐにできる取り組みとして、社会インフラへの導入で行政コストを削減する、教育現場での事務作業に活用して教員が児童生徒に向かう時間を確保する、などが挙げられる。AIは道具型から人と共生する自律型へ進化していく。倫理や法制度の課題があるものの、最終的には人間の「何をしたいのか、どうあるべきかを考える能力」が大切になる。

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