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北日本政経懇話会 4月例会

国際エネルギー情勢の展望と日本の課題

【日時】4月25日(火)正午~
【会場】ANAクラウンプラザホテル富山
【講師】小山 堅 (こやま・けん)氏   日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
【演題】国際エネルギー情勢の展望と日本の課題

市場安定に日本役割
 
 北日本政経懇話会の4月例会が25日、富山市のANAクラウンプラザホテル富山であり、日本エネルギー経済研究所専務理事首席研究員の小山堅氏が「国際エネルギー情勢の展望と日本の課題」と題して講演した。ウクライナ危機で世界の分断が深刻化し、市場が不安定になっていると指摘。来月のG7広島サミットに触れ「自国の利益を超えた地球益を議論する場。岸田文雄首相のリーダーシップに期待したい」と述べた。
 2021年後半、エネルギー価格の高騰が同時多発的に起きた。ウクライナ危機が追い打ちとなり、原油価格は100㌦を突破。22年3月には130㌦超でリーマンショック後最高値を記録した。原油高は落ち着いてきたものの下げ止まっているのは、高値を志向する産油国が減産しているためだ。最大の余剰生産能力を持つサウジアラビアが市場安定の鍵を握っている。
 ロシアは石油、液化天然ガス(LNG)、石炭輸出の巨人だ。戦略的にエネルギーを利用している。依存度が高い欧州では米産LNGの輸入を増やしている。石油と違って生産余力のないLNGを巡る争奪戦が激化するかもしれない。
 エネルギー安全保障が重要になってくる。ロシア依存の低減、緊急時の対応力強化、供給余力確保への投資、安定的なベースロード電源|の4点が柱になる。さらに脱炭素を実現するには水素利用、二酸化炭素貯留などイノベーション(技術革新)が不可欠だ。
 国際エネルギー市場の潮目は21年10月に変わった。先進国がエネルギー料金の補助を始めたことや、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長が「原子力は必要」と言及したからだ。
 EUでは中長期的に「脱ロシア」が「脱炭素」につながるとして、フォンデアライエン発言以降、仏や英が原発新設に動き出した。岸田首相も原発再稼働を積極的に進めている。
 日本はエネルギー自給率が低い。エネルギー基本計画では30年までに再エネを倍増、非化石燃料のシェアを6割にする指針を示している。残り7年を切り、達成は非常に難しい。
 太陽光の拡大には限界があり、原子力が鍵を握る。30基ほどの再稼働が必要だろう。道のりはまだまだ遠い。今年は次の基本計画へ準備が始まる。脱炭素とエネルギー安保の両立を目指す骨太の議論を期待したい。

交代会員を紹介
講演に先立ち交代会員として、8人が紹介された。
 ▽交代会員‖門之園勝久(SMBC日興証券富山支店長)中尾哲也(廣貫堂副社長)野田強(第一生命保険富山支社長)遠藤忠洋(富山交易社長)光永豊(日本たばこ産業富山支社長)飯田壮一郎(野村證券富山支店長)井下昌人(北陸ミサワホーム富山支店副支店長)岩本聡(北日本新聞社専務)

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