北日本四政経懇話会

となみ政経懇話会5月例会

「日本経済の展望 ~コロナ・ウクライナ戦争の影響~」

【日時】令和4年5月27日(金)正午~
【会場】TONAMI翔凜館
【講師】永濱利廣氏(第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト)
【演題】「日本経済の展望 ~コロナ・ウクライナ戦争の影響~」
 となみ政経懇話会5月例会は27日、砺波市三島町のTONAMI翔凜館で開かれ、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が「日本経済の展望~コロナ・ウクライナ戦争の影響~」と題して講演した。原油価格や食料品の高騰など戦争が日本経済に与える影響は大きいとし「コロナ前の景気水準に戻るのは来年以降になる」との見方を示した。

◇コロナ前回復 来年以降
 ウクライナ戦争前は新型コロナウイルスによる国内の行動制限が景気低迷につながった。戦争後は化石燃料と穀物の高騰で物価高となり、輸入に依存する日本経済に悪影響を及ぼしている。
 ロシアに頼らず、自国で生産活動ができる欧米諸国の景気は落ちていない。特にアメリカは経済が絶好調だ。金利は上昇し、日本との金利差が円安を生む要因にもなっている。
 食料品に加え、電気料金などの値上げも相次ぎ、コロナ前の景気に戻るのは今年は難しいとみている。ただ、ゴールデンウイークに続き、3年ぶりに行動制限のない夏休みとなれば、人が動く。訪日外国人観光客の受け入れも6月から再開され、観光需要が戻りつつあることは明るい材料だ。
 先日、岸田文雄首相に呼ばれ、経済政策について意見を求められた。給付金で負担を軽減するより、家計や企業に省エネ関連の支出を促す減税や補助が効果的だと申し上げた。
 エコカーや省エネ家電への買い換え促進策は個人消費を刺激する。企業での省エネ設備導入が進めば、化石燃料への依存度も低くなる。需要喚起とエネルギー消費抑制の両立を目指す「攻めの施策」が不可欠だ。
 輸入穀物が高い現状は4割を切る食料自給率を上げるチャンスでもある。ロシアに依存するカニやサーモンなどの魚介類は、価格が急激に上昇している。魚介類がおいしい富山などの地方都市は今後、ロシア産の代替需要で恩恵を受ける可能性があるかもしれない。

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