となみ政経懇話会
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となみ政経懇話会5月例会
「トランプが揺さぶる自動車産業~ホンダ、日産『失敗の本質』と次の一手」

【日時】令和7年5月20日(火)正午~
【会場】TONAMI翔凜館
【講師】永井利治 氏(共同通信社論説委員長)
【演題】「トランプが揺さぶる自動車産業~ホンダ、日産『失敗の本質』と次の一手」
となみ政経懇話会5月例会は20日、砺波市のTONAMI翔凜館で開かれ、共同通信社論説委員長の永井利治氏が「トランプが揺さぶる自動車産業~ホンダ、日産『失敗の本質』と次の一手」と題して講演した。トランプ政権の関税引き上げを巡る日本と米国との交渉が長引けば打撃は深刻になるとし、日本企業は輸出に伴うコスト削減や米国での値上げが不可避だとの見方を示した。
トランプ関税は品目別と国別に分かれている。自動車や鉄鋼など品目別の関税の目的は輸入量を減らし、自国の疲弊した産業を復活させることだ。日本政府は25%の追加関税が発動されている自動車の関税引き上げ撤回を求めているが状況は深刻だ。米国は自動車関連は交渉の対象としないと主張し、議論が深まらない。
みずほリサーチ&テクノロジーズが試算した関税引き上げによる業種別の国内総生産(GDP)の影響は卸・小売りが1.5%近い下落になるのに対し、自動車が入る輸送機器は3%の下落と影響が一番大きい。交渉が長引くと下落がこれで収まるかどうか不透明だ。コスト増加や関税分の負担が課題になり、各メーカーは米国への生産移転を考え、これまでの体制とは変わってくるだろう。
自民党内では交渉について、6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)の頃か、相互関税の上乗せ分が一時停止されている7月9日までに合意したほうがいいのかといった議論が聞こえてくる。そもそも合意できるのか、そうした交渉の進め方になっているのか見通しをよく考えないといけない。
ホンダとの経営統合協議が破談となった日産自動車は経営体制を一新し、2027年度までに国内外の7工場を閉鎖、2万人の従業員を削減するリストラ策を打ち出した。V字回復の道筋や、どのような車種を導入するといった新しい戦略の絵は出ていない。
ホンダと経営統合に向けて再交渉するか、三菱自動車や鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)を含めた4社連合をつくる選択肢が考えられる。新経営陣が打ち出したリストラはホンダが求めていたものにかなり近づいており、交渉の余地はある。
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