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北日本政経懇話会6月特別例会

世界へ挑むパティシエを育てた北陸の文化・自然

【日時】令和3年6月18日(金)正午~
【会場】ANAクラウンプラザホテル富山
【講師】辻口 博啓氏(パティシエ)
【演題】世界へ挑むパティシエを育てた北陸の文化・自然
 北日本政経懇話会6月特別例会は18 日、ANAクラウンプラザホテル富山であり、石川県出身で世界的なパティシエの辻口博啓(ひろのぶ)氏が「世界へ挑むパティシエを育てた北陸の文化・自然」と題して講演した。辻口氏は生い立ちや今後の事業展開を紹介し、「味とビジネスの世界は同じ。どういう景色を見るかはその人次第で感じ方が変わる。いろんなことにトライしたい」と語った。
 七尾市で祖父が和菓子店を営んでいた。寝起きしていた部屋の下が厨房で、職人がまんじゅうをふかす音やどら焼きを焼く鉄板の香りに触れ合った。なぜ和菓子職人ではないのか。それは小学3年生の時に友達の家で食べたショートケーキに感動したから。友達の母から「辻口くんの家には、こんなおいしいお菓子ないでしょ」と言われ、恥ずかしさと悔しさがこみ上げた。そこから洋菓子への思いが強くなった。
 父が知人の借金の保証人になり、中高生の時は取り立ての電話が鳴っていた。進路を考える時、専門学校に行くお金がないので住み込みの洋菓子店を東京・田園調布で見つけたが、2カ月して母から「店と家が全部なくなるから帰ってきて」と電話があり地元へ。それでも夢を諦められず、大泉学園にあるケーキ店で修業した。こんな自叙伝が出ており、目にしたNHKのプロデューサーから朝ドラ「まれ」の参考にしたいと提案があり、製菓指導を担当した。
 これまで国内外のコンクールで優勝してきた。若い頃は独立したいという思いがあり、自分の存在価値を示すために何度もトライした。菓子作りで大事にしてるのはルーツだ。ルーツがないと語れる菓子にならないし、語れないと付加価値がつかない。北陸というルーツを大事にしており、海外では北陸の魅力を語っている。
 最近は食や温泉が楽しめるリゾート施設を手掛けており、来月、三重県多気町でオープンする。パティシエとしての基本概念は変えないが、新たな食のリゾート展開はこれからの自分のスタイルになっていくと思う。一度の人生、振り切ったことをしたい。

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