北日本四政経懇話会

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にいかわ政経懇話会12月例会

空き家対策とこれからのまちづくり

【日時】令和元年12月12日(木)正午~
【会場】ホテルグランミラージュ
【講師】米山 秀隆氏(住宅・土地アナリスト)
【演題】空き家対策とこれからのまちづくり
 にいかわ政経懇話会の12月例会は12日、魚津市のホテルグランミラージュで開かれ、住宅・土地アナリストの米山秀隆氏が「空き家対策とこれからのまちづくり」と題して講演した。全国の空き家の実態や原因を説明し、解体に公費が投入されるケースがあることから「将来必要になる費用を、所有する人から事前徴収する仕組みが必要だ」と述べた。

♢解体費 事前徴収が必要
 2018年の国の調査によると、空き家は全国で約849万戸。うち売却用・賃貸用や別荘のような住宅を除き、親の家を相続したがそのままになっているような物件(その他の住宅)が約349万戸あり、これが問題だ。1990年代から地方で増え始め、全国的な問題になった。
 増加要因は主に高齢化だが、中古住宅が価値を持たず、中古市場が非常に小さい日本特有の事情もある。更地にするより建物を残した方が敷地の固定資産税が安い特例も増加を招いた。
 18年の空き家率は全国平均13.6%に対して富山は13.3%で下位の方だが、その他の住宅だけでみると富山は7.1%で全国平均5.6%を上回っている。
 15年の空き家対策特別措置法施行で、行政代執行による「特定空き家」の撤去などができるようになった。ただ、所有者から費用を回収できないケースや所有者が特定できない略式代執行の公費投入は、費用を納税者全体で負担することになり、公平性を欠く。
 自動車は購入時にリサイクル費用を前払いする。同じように住宅を持つ人が、解体費用を最初に供託する、積み立てる、固定資産税に上乗せするなど事前徴収する仕組みがあるべきだ。相続放棄されたり、所有者が不明になったりしても費用の心配はなくなる。
 空き家を活用するため、全国の自治体が空き家バンクを設けている。民間事業者や住民と共に情報収集に当たったり、移住者受け入れに力を入れているところの成約件数が多い。
 分譲マンションの問題も大きい。築40年たつと購入者の相続が発生したり、空室が増えたりして、管理機能が落ちる。そのような物件が爆発的に増えている。
 メンテナンスや建て替えができなければスラム化する。全国では崩落した物件がある。所有者が多数決で除却を決めることができる規定や、空き家で述べた解体費用の積み立てのような仕組みが必要だ。

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