北日本四政経懇話会

高岡政経懇話会

高岡政経懇話会: 北日本新聞社西部本社内
〒933-0911 高岡市あわら町13-50 [電話]0766-22-2226 [ファクス]0766-25-7775

高岡政経懇話会9月例会

「高齢者うつを治す—認知症との関連を含めて—」

【日時】令和5年9月5日(火)正午
【会場】ホテルニューオータニ高岡
【講師】上田 諭氏(東京さつきホスピタル精神科医師)
【演題】「高齢者うつを治す—認知症との関連を含めて—」
 高岡政経懇話会は5日、高岡市のホテルニューオータニ高岡で9月例会を開き、東京さつきホスピタル精神科医師の上田諭(さとし)氏が「高齢者うつを治すー認知症との関連を含めて」と題して講演した。高齢者のうつは誰にでもなる可能性があるとし、「治療をすれば8~9割の人は治る。精神科を受診し、薬を飲んで症状を改善させてほしい」と述べた。

 高齢者のうつはストレスがなくてもなり、確かな予防方法はない。サインはある。悩みがないのに気分が落ち込む▽好きなテレビ番組なのに見たくない▽大好物なのに食事がおいしくない—などだ。
 うつは、ショックな出来事や人間関係のこじれが原因の「心理性うつ」や原因不明で心身が突然不調になる「身体性うつ」がある。心理性はうれしいことがあれば状態が改善される。一方、身体性は普段であれば楽しいことを楽しめず、良いときがない。
 高齢者のうつは身体性うつが多い。外出がおっくう▽憂鬱(ゆううつ)で悲しく、一人でいられない▽全てに悲観的で死ぬことを考える―といった症状が急に現れてずっと続く。
 治療方法も異なる。心理性うつは原因となった現実を調整したり、カウンセリングをしたりするが、身体性うつは抗うつ薬治療と休養が必要だ。抗うつ薬は20種類以上あり、医師の見立てで選択する。
 認知症とうつを混同してはいけない。認知症の初期症状は、物忘れや物探しの「記憶障害」とリモコン操作が難しくなるなどの「実行機能障害」がある。うつの状態では認知機能が低下するが、認知症ではない。治れば認知機能も回復する。
 うつは予防方法がなく、恐れても仕方がない。身近に症状の人がいたら、余計なアドバイスはせず、「それはつらいね」と話を聞いてあげてほしい。心身の不調を訴える人に対し、「気のせい」「わがまま」と言ってはいけない。無理に運動や外出を勧めるのもよくない。「精神科を受診して薬を飲めば必ず治る」と伝えるのが、唯一のアドバイスだ。

←前のページにもどる

ページトップ