北日本四政経懇話会

北日本政経懇話会 4月例会

「日本再生のカギ」

【日時】令和6年4月19日(金)正午
【会場】オークスカナルパークホテル富山
【講師】デービッド・アトキンソン氏(㈱小西美術工藝社 代表取締役社長)
【演題】「日本再生のカギ」
北日本政経懇話会 4月例会

講師:㈱小西美術工藝社 代表取締役社長 デービッド・アトキンソン氏
演題:「日本再生のカギ」

北日本政経懇話会の4月例会が19日、富山市のオークスカナルパークホテル富山であり、元ゴールドマン・サックス証券アナリストで小西美術工藝社(東京)社長、デービッド・アトキンソン氏が「日本再生のカギ」と題して講演した。「国内の生産年齢人口が急激に減少する中、経済成長には労働生産性の向上が欠かせない」と指摘。従業員数2千人以下の「中堅企業」に対する支援を手厚くすべきと強調した。

◇「中堅企業」支援手厚く

 日本の再生を考える上で、人口減少の問題は重要だ。国内の生産年齢人口(16歳から64歳)は1995年にピークを迎え、2023年までに1400万人が減った。65歳以上の高齢者の平均年齢は上がり、少子化を止めることも難しい状況になっている。
 国内総生産(GDP)の額は人口と生産性で決まる。生産性が低くても人口が多ければ総額は大きくなるが、国民一人一人の生活を豊かにするためには生産性の向上が欠かせない。輸出を増やしたり、先端技術を導入したりすることが効果的だ。日本企業のうち85%の平均社員数は3.4人。この人数で輸出の拡大や、先端技術の導入に積極的に取り組むことは難しい。
 日本の大企業と他の先進国の生産性はほぼ変わらない。一方で中小企業の生産性は、欧州連合(EU)は66.4%、米国が62.9%なのに対し、日本は50.8%。日本の労働者の70%が働く中小企業の数字がEU並みに上昇すれば、日本全体の生産性が1.45倍になる。
 国は中堅企業の輸出や設備投資が増えるよう徹底的に支援するべきだ。政府は中小企業を保護する政策を続けてきたが、結果として企業数だけが増え「規模の経済」に逆行した。人口増加時代にはふさわしかったが、現代には適さない。
 個人的な仮説であり、業界によっても異なると思うが、200~300人規模の企業が理想的だろう。また、女性の活躍を推進している国と生産性が高い国は相関関係にある。移民を迎え入れることを検討する前に、女性の活躍について考えるべきだ。

◇講演に先立ち、交代会員として7人が紹介された。

▽交代会員=近藤悟(押田会計代表社員税理士)中谷仁(県新世紀産業機構理事長)須田直樹(全日本空輸富山支店長)太田俊也(三井物産北陸支社長)下村貴之(東京海上日動火災保険富山支店長)福田哲生(日立製作所北陸支社長)疋田秀三(インテック代表取締役社長)

 5月例会は同8日に富山市のホテルグランテラス富山であり、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏が「地球温暖化と脱炭素のファクトフルネス」と題して講演する。問い合わせは北日本新聞社事業局、電話076(445)3369。

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