北日本四政経懇話会

北日本政経懇話会6月例会

「経営は無理をせよ、無茶はするな」

【日時】令和8年6月25日(木)正午
【会場】ANAクラウンプラザホテル富山
【講師】伊丹 敬之 氏(経営学者、一橋大学名誉教授)
【演題】「経営は無理をせよ、無茶はするな」
北日本政経懇話会6月例会は25日、富山市のANAクラウンプラザホテル富山であり、経営学者で一橋大名誉教授の伊丹敬之氏が「経営は無理をせよ、無茶はするな」と題して講演した。企業の成長にはオーバーエクステンション(背伸び)が欠かせないとし、新事業に挑戦することの重要性などを語った。
 トヨタが世界初の量産ハイブリッド車(HV)となる初代プリウスを発売したのは1997年。一般的に新車のモデルチェンジでさえ5年ほどかかるといわれる中、先進国に温室効果ガスの削減を義務付ける京都議定書が採択される年に向け、開発着手から約2年半で発売にこぎ着けた。
 今、中国や欧州を含め国内外の自動車メーカーが電気自動車(EV)に注力する中、トヨタは「全方位戦略」を貫くことができている。プリウスの開発プロセスで大変な背伸びと苦労をした分、能力が高まり、他社と差が付いたためだ。
 ヤマト運輸は1976年に宅急便事業を始めた。個人宅の荷物を運ぶのは需要が読めず、業界内では採算が取れないと言われていたが、社会の動向を見通し、事業に乗り出した。今では国内の宅急便事業のシェアの5割近くを占める。
 そうした「無理」をして成長したケースの一方で「無茶」もある。ユニクロが海外展開第1号として英国に進出した時のやり方は無茶だった。暑い東京で売れている薄くて乾きやすい服を涼しいロンドンに持って行ったが、売れ行きは伸びない。現地の高級百貨店の衣料品チームを引き抜き、ユニクロの安い商品の販売を任せたこともうまくいかなかった。その後市場や販売計画を見直し、国内外での事業は大成功した。
 オーバーエクステンションで大事なのは、社員や従業員に権限を委譲し、能力の蓄積を高めていくことだ。ディスカウント店のドン・キホーテでは、地元採用のパート従業員らを売り場の責任者として仕入れまで任せている。売れ残ってしまった商品は、失敗の意味で「しくじり市」として安価で販売する。徹底して権限を委ねることで、本人たちは判断力や行動力、実行力を身に付け、自然と育っていく。
 7月特別例会は、17日に富山市のオークスカナルパークホテル富山であり、NHK連続テレビ小説「虎に翼」を手がけた脚本家、吉田恵里香氏が講演する。問い合わせは北日本新聞社事業局、電話076(445)3369。

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