にいかわ政経懇話会6月例会
「若者の参加は地域社会を変える?-若者の社会意識の現状から考える」
【日時】令和6年6月27日(木)正午
【会場】ホテルアクア黒部
【講師】富永京子氏(立命館大学産業社会学部准教授 社会運動論)
【演題】「若者の参加は地域社会を変える?-若者の社会意識の現状から考える」
にいかわ政経懇話会は27日、黒部市のホテルアクア黒部で6月例会を開き、立命館大産業社会学部准教授の富永京子氏が「若者の参加は地域社会を変える?|若者の社会意識の現状から考える」と題して講演した。「日本人は自分の属する共同体や社会に対して積極的に要求を言うことへの抵抗が根強い」と指摘した上で「要求を伝えなければ帰属意識が生まれず、社会自体も改善されない。意見を言い、社会を変える力を持ってもらうことが、若い人について考える上での課題だ」と語った。
若い人の間で「意識高いね」「思想強いね」という言葉があるが、政治や社会に積極的に関わる人に対して冷たい。意見や要求を言うことが嫌われ、静かに黙々とやることが評価される。主張することを忌避するのは、多様化の時代となって職場でも学校でも立場の違いが明確化したため、自分が他者を代表できなくなっているからだ。例えば学費が高いと思っても、自分だけの意見だと考えて自分の中に抑え込んでしまう。
若い人は多様化を真に受け過ぎている。自己責任の意識だけがどんどん積み上がり、職場や学校に要求して良いことも背負い込んで、共有できずに孤立してしまう状況にある。
悩みや苦しみ、同じ利害を共有できる場がないと、社会にとっても個人にとってもマイナスだ。自分の意見や要求を言い、それを受け止められる社会が必要で、その一つが地域社会だ。
地域には共通の話題があり、悩みがあり、利害がある。同じ地域に住んでいることは同質性の大きなアドバンテージになる。遠隔地に住む学生への支援や若い移住者の取り組みが効果を上げており、社会参加を促すことにつながっている。取り組み自体は大きくないが、一つ一つに目を向けることが重要だ。
若い人と我々の意識が全く変わってしまっているのは、社会が大きく変わっているので当たり前のこと。若い人たちを「私たちのいつかあった過去」と捉えてはならない。若い人が繊細だからデリケートに接しようというのではなく、若い人を取り巻く社会自体が変容しているという思考を持つ必要がある。
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