にいかわ政経懇話会
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にいかわ政経懇話会5月例会
言葉の不思議

【日時】令和8年5月27日(水)正午
【会場】ホテルグランミラージュ
【講師】穂村弘氏(歌人)
【演題】言葉の不思議
にいかわ政経懇話会は27日、魚津市のホテルグランミラージュで5月例会を開き、歌人で、本紙文化面で「迷子の散歩道」を連載している穂村弘氏が「言葉の不思議」と題して講演した。言葉の変化や世代間のずれなど豊富な実例を取り上げ、「言葉は道具以上の何か」と語った。
言葉を使う仕事を何十年続けても、とっさに適切な表現が出てこないことがある。箸やはさみなら使い込むほどうまくなるのに、言葉はそうじゃない。
言葉の変化は、気づかないまま進む。子どもの頃、祖母に「ライスカレーを作ろうね」と言われた。なんだか煮物みたいでおいしくなさそうだと思った。祖母は「ライスカレー」としてカレーを覚えた世代だった。それから何十年もたったサイン会で、若い読者に「穂村さん、キウイのことをキーウィって書きますよね」と言われた。その果物が初めて店に並んだ時、横の札には確かにそう書いてあった。その時初めて、祖母の気持ちが分かった気がした。言葉は勝手に変わっていく。
大人も不案内な分野では、言葉を覚えたての子どもと変わらない。野球に興味のない友人が「ピッチャーが攻めてて、バッターが守ってるんじゃないの?」と言った。確かに知識ゼロで見たら、硬い球を全力で投げつける人がいて、棒切れ1本で必死に身を守っている側がいる。知識としては野球を知っているわれわれが正しい。でも、真っさらな目で見ると、世界は違う顔をしている。
言葉には社会の変化が刻まれている。コカ・コーラの広告は「飲みましょう」から「スカッとさわやか」、そして「ココロが求めてる」へと変わった。体の必要から心の欲望へ。実体ベースでは「もう足りている」ものを、イメージや感情に訴えることで「まだ必要だ」と思わせる。資本主義の言葉の戦略だ。
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