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となみ政経懇話会10月例会

「異例ずくめの米大統領選挙の行方と日米関係」

【日時】令和6年10月4日(金)正午
【会場】TONAMI翔凜館
【講師】簑原俊洋氏(神戸大学大学院法学研究科教授・インド太平洋問題研究所理事長)
【演題】「異例ずくめの米大統領選挙の行方と日米関係」
 となみ政経懇話会10月例会は4日、砺波市三島町のTONAMI翔凜館で開かれ、神戸大大学院法学研究科教授でインド太平洋問題研究所理事長の簑原俊洋氏が「異例ずくめの米大統領選挙の行方と日米関係」と題して講演した。共和党のトランプ前大統領暗殺未遂事件、民主党のバイデン大統領の撤退表明とハリス副大統領の候補指名など、これまでの経緯を振り返り「大統領選挙がある11月までにさらに何か起こるかもしれず結果は読めないが、高投票率ならハリス氏が優勢」と予想した。
 7月にもなって現職大統領が撤退表明したのは米大統領選挙の歴史で最も遅い。トランプ氏は同月の暗殺未遂事件の際に不屈のガッツポーズのパフォーマンスで選挙の流れを激変させたが、その後、ハリス氏が挑戦者のイメージを浸透させて流れを引き戻し接戦となっている。ハリス氏が勝利すれば、米史上初の女性大統領とアジア系大統領となる。まさに異例ずくめと言えよう。
 ハリス氏が勝利すると、バイデン氏の側近の多くが政権に参加するため、政策は基本的に前政権を踏襲する。地球温暖化などグローバルな問題に積極的に関わり、他国との同盟関係も重視するはずだ。トランプ政権になると、1期目の教訓から周囲をイエスマンだけで固め、大統領権限を大幅に強化しようとするだろう。移民やマイノリティーに不寛容で、米国の国益のみを追求する同盟軽視の孤立主義になると予想される。
 接戦の行方は40歳未満の無党派層、女性、マイノリティーの投票が鍵を握っている。投票率が60%台後半と高くなればハリス氏に有利で、トランプ氏の熱狂的な岩盤支持層を突き崩すことになるだろう。
 米国は選挙の争点ともなっている人工妊娠中絶や銃規制の是非を巡って国民の分断が進んでいる。今回はハリス氏が勝利したとしても今後はトランプ氏よりもっと「トランプ的」な大統領候補が現れる可能性があり、日本には現実的で冷静な対応が求められる。

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