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北日本政経懇話会7月例会

「これからの経済と私たちの暮らし」

【日時】7月13日(木)正午~
【会場】ホテルグランテラス富山
【講師】荻原 博子 氏(経済ジャーナリスト)
【演題】「これからの経済と私たちの暮らし」

 北日本政経懇話会の7月例会は13日、富山市のホテルグランテラス富山であり、経済ジャーナリストの荻原博子氏が「これからの経済と私たちの暮らし」と題して講演した。マイナンバーカードを巡るさまざまな問題に触れ「現場の意見を丁寧に酌み取り着実に進めなければ、デジタル政策は成功しない」と語った。

マイナカードは、集めた個人情報を医療機関が診察に生かしたり、企業が商品開発に活用したりと、官民が便利に使うためのいわば「情報の高速道路」を作ることが目的だ。だが、ふたを開けてみると、国民を道路に乗せることありきで、路面は穴だらけの状態だ。
 主な問題点は三つある。まず健康保険証を廃止してマイナカードに一本化することだ。医療や介護の現場では、さまざまなトラブルが発生している。カードリーダーの読み込み不良や、顔認証の強度が低く他人のカードで認証できてしまう事例まである。介護施設では、認知症で暗証番号を覚えられない人もいる。
 次に年金口座の問題だ。受給者が不同意の意思表示をしなければ、マイナンバーを口座にひも付けられることになった。日本年金機構から届いた書類を放置していたら、そのまま同意したことになってしまう。
 また、マイナンバーの利用範囲は元々、社会保障と税、災害対策に限られていたが、法律で定めた用途に「準ずる事務」なら使えるようになり、範囲が拡大した。世界を見ると、米国や韓国では詐欺やなりすましの被害が相次いだことを受け、範囲を狭める方向に向かった。日本は世界から2周も3周も遅れている。
 世界デジタル競争力ランキングで、日本は63カ国・地域中29位と低い位置にいる。上位のフィンランドは60年前からマイナンバーを導入し、住民の声をよく聞いた上で制度を作った。だからこそ信頼感がある。日本も「聞く耳」を持ち、時間をかけて着実に制度設計を進めることが必要だ。

 講演に先立ち、新入会員2人、交代会員6人がそれぞれ紹介された。
 ▽新入会員=佐藤則寿(県議)中沖雄(富山銀行頭取)▽交代会員=今井光雄(富山空港ターミナルビル社長)島谷浩司(北日本放送社長)玉置滋憲(ANAクラウンプラザホテル富山総支配人)中田邦彦(富山地方鉄道社長)水谷和久(北陸電気工事会長)渡辺敏樹(富山ヤクルト販売社長)

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