北日本四政経懇話会

北日本政経懇話会

北日本政経懇話会事務局: 北日本新聞社事業局内
〒930-0094 富山市安住町2-14 [電話]076-445-3369 [ファクス]076-445-3559
9:00~17:00(土日祝日のぞく)

北日本政経懇話会5月例会

「我が国をめぐる地政学的変化と新国家安全保障戦略」

【日時】5月22日(月)正午~
【会場】ホテルグランテラス富山
【講師】北村 滋 氏 (前国家安全保障局長)
【演題】「我が国をめぐる地政学的変化と新国家安全保障戦略」
北日本政経懇話会の5月例会は22日、富山市のホテルグランテラス富山であり、前国家安全保障局長・内閣特別顧問の北村滋氏が「我が国をめぐる地政学的変化と新国家安全保障戦略」と題して講演した。日本が中国や北朝鮮の脅威にさらされている現状に「戦後最も厳しい安全保障環境だ」とし、有事に確実に対処するための法整備が急務とした。

 政府が昨年12月に策定した国家安全保障戦略のポイントは三つある。一つ目は「ミサイルギャップ」の存在だ。中国や北朝鮮の弾道ミサイルがEEZ(排他的経済水域)に着弾した。EEZ内にミサイルを撃ち込まれている国は他にない。反撃能力を保有せざるを得なくなっている。
 二つ目は尖閣諸島周辺海域。ほぼ毎日、中国の海警船が出現している。海上保安庁がマークして国土を守っているが、確実に対処できる法整備を行うことが急務だ。
 三つ目はハイブリッド戦争への対応。ロシアによるクリミア併合やウクライナ侵攻でサイバー攻撃が行われた。経済安全保障政策の強化も不可欠だ。
 この10年で安全保障環境がどのくらい変わったか。世界一の海軍は艦艇数からみると中国だ。東シナ海や南シナ海で動きを活発化させ、習近平国家主席は台湾海峡に対して野心を隠していない。中国の脅威が増していることから、米国はアジア重視の政策に変更した。北朝鮮は核やミサイルを強化している。航空自衛隊の緊急発進は2021年度に千回を超えた。戦後、最も厳しい安全保障環境にあるのは明らかだ。
 国家安全保障戦略の中では、どういった形で反撃能力を保持していくのかが決まった。財源論ばかりで、本質的な議論がなされなかったのは残念だった。
 尖閣諸島での「グレーゾーン事態」への対応も重要だ。海上保安庁法は実態とかけ離れている。実際の脅威やハイブリッド戦争に対応した形で、海上保安庁の強靱(きょうじん)化(か)が必要だ。
 経済安全保障はいかにサプライチェーンを多様化するかだ。2国間関係が緊張した時に中国が繰り出してくる手段に対し、政府がいかに機動的に的確に対応していくかを考えていく必要がある。

 講演に先立ち、新入会員として県文化振興財団理事長の岡本達也氏が紹介された。6月特別例会は同月9日にオークスカナルパークホテル富山であり、弁護士の菊間千乃氏が「今の自分を超える」と題して講演する。問い合わせは北日本新聞社事業局、電話076(445)3369。

←前のページにもどる

ページトップ