
北日本政経懇話会5月例会
「希望格差社会、それから」

【日時】令和8年5月19日(火)正午
【会場】ホテルグランテラス富山
【講師】山田 昌弘 氏(社会学者、中央大学文学部教授)
【演題】「希望格差社会、それから」
北日本政経懇話会の5月例会が19日、富山市のホテルグランテラス富山であり、社会学者の山田昌弘氏が「希望格差社会、それから」と題して講演した。平成から令和にかけて深刻化した日本の格差社会を分析し、「これからはバーチャルな世界で満たされぬ希望を埋めるようになる」と語った。
平成の時代にはいくつかの負のトレンドが発生した。一つ目は少子高齢化。未婚率は上昇し、合計特殊出生率は30年以上にわたって1・5未満となっている。二つ目は経済停滞。1979年に発刊された「ジャパン・アズ・ナンバーワン」がベストセラーになり、「世界競争力ランキング」は長年トップだったが、バブル崩壊を経て、2025年は中国やタイよりも低い35位へと転落した。三つ目は、男女共同参画の停滞。女性の国会議員や管理職の比率は低く、女性は活躍できないままだ。
これらのトレンドは格差が広がった結果と言える。結婚して子どもを育てている人と未婚の人、正規雇用と非正規雇用、伝統的企業とグローバル企業など、格差は大きくなっている。
昭和の時代、格差は乗り越えられると信じられていた。敗戦後、ほとんどの人が貧しい状況から出発し、機会の平等があるように思えた。高度経済成長で工業化が進む中、サラリーマンの収入は右肩上がりで、多くの人が結婚をして豊かな生活を築くという希望を持つことができた。平成でバブルが崩壊して格差が広がり、令和で固定化された。
リアルな世界で希望が持てなければ、どうにもならない格差を埋めるのは、バーチャルな世界。パチンコやゲームを疑似仕事、アイドルやアニメキャラクターなどの「推し」を疑似家族とする人が出てきた。これからは生成AI(人工知能)に親密な関係を求め、依存する人も増えるだろう。
バーチャルな世界は救いなのか。これまで続いてきた社会制度を変革するのは簡単なことではない。ただ、リアルな世界に希望を持てない若者を生み出したのは、親世代の責任だ。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代に戻ることはできない。過去を追い求めると、未来を失うだけだ。
■次回は伊丹敬之氏
6月例会は6月25日に富山市のANAクラウンプラザホテル富山であり、経営学者の伊丹敬之氏が講演する。問い合わせは北日本新聞社事業局、電話076(445)3369。

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