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北日本政経懇話会6月例会

「戦後80年の政治をどう捉えるか」

【日時】令和7年6月25日(水)正午
【会場】ホテルグランテラス富山
【講師】御厨 貴 氏(政治学者、東京大学名誉教授、東京大学先端科学技術研究センターフェロー)
【演題】「戦後80年の政治をどう捉えるか」
 北日本政経懇話会6月例会は25日、富山市のホテルグランテラス富山であり、政治学者で東京大名誉教授の御厨貴氏が「戦後80年の政治をどう捉えるか」と題して講演した。自民党の派閥政治などについて解説しながら「政党政治は大きな変革期にある」と語った。


■政党政治 大きな変革期

 都議選の結果が参院選にどう影響するか読みにくい。自民党は思ったほど負けておらず、各政党とも中小規模で並んでいる状況。自民に票を投じていた人が「今回は」と都民ファーストの会に入れるなどした結果だろう。
 石破政権下での少数与党の状況は、野党と話し合う良いチャンス。それまでは与党の一部と官僚で全てを決めていた。不満があるようだが、岸田文雄前首相による派閥解散の影響で党内に反石破勢力が形成されず、従来の派閥政治が停止状態になっている。
 自民の最大の魅力だった「危機時に新しい人材が飛び出してくる運動体」としての機能が失われている。安倍晋三元首相の強すぎる影響で世代交代が進まなかった。与党に元気がなく「新しい人を待とう」という形になった。自民は非常に危機的な状況にある。
 大阪維新の会や都民ファーストなど地域政党が出現している。明治初期の政党も地域を良くするところから始まった。現在は全国政党から地域政党ができる逆の流れもあり、大きく変革する時期に来ている。
 派閥の使命は元々、トップを総理総裁にすることだった。戦後、首相の吉田茂と、連合国軍総司令部(GHQ)による公職追放で吉田に自由党総裁の座を譲った鳩山一郎が主導権争いした。鳩山派が形成されたのが戦後型派閥の始まりだ。
 佐藤栄作は長期政権を維持しながら後継者育成(三角大福中)に力を入れた。派閥間の権力争いが激しくなり、短期政権が続くようになった。竹下登は「同じ派閥から連続して総裁を出してはいけない」という制約を設けたが、竹下自身がこれを破り党内の均衡システムが崩れ、清和会の長期独占体制につながった。
 安倍元首相は右派的な思想を持ちながら、党からイデオロギー色を薄めようとし、右派に配慮しつつ核心では譲歩しなかった。石破氏は政治的立場を曖昧にしている。党は静止状態にあり、これをどう動かしていくかが最大の課題だろう。


■新入会員を紹介
 
 新入会員として、丸紅の堀口剛太北陸支店長が紹介された。


■次回は山田順子氏

 7月特別例会は7月15日に富山市のANAクラウンプラザホテル富山であり、時代考証家の山田順子氏が「吉原から見た江戸の娯楽」と題して講演する。問い合わせは北日本新聞社事業局、電話076-445-3369。

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