北日本四政経懇話会

高岡政経懇話会

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高岡政経懇話会10月例会

「映画に見る戦争の記憶」

【日時】令和6年10月9日(水)正午
【会場】ホテルニューオータニ高岡
【講師】立花珠樹氏 (共同通信編集委員・映画評論家)
【演題】「映画に見る戦争の記憶」
 高岡政経懇話会は9日、高岡市のホテルニューオータニ高岡で10月例会を開き、共同通信編集委員で映画評論家の立花珠樹氏が「映画に見る戦争の記憶」と題し講演した。恋愛と並ぶ2大テーマである戦争の映画は、国内外で続々と公開され多くの観客を集めているとし「戦争への危機感がいろんな形で表れている」と指摘した。
 今年は戦後79年だが、国際紛争や戦争が相次ぎ、戦後という言葉がいつまで使えるか分からない状況だ。俳優の香川京子さんは昨年、吉永小百合さんとの対談で「戦争がすぐそこまで来ている感じで、怖い」とおっしゃった。
 昨年12月公開の「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は戦時中にタイムスリップした現代の女子高生と特攻隊員の恋を描いた作品で、口コミで評判になり大ヒットした。米アカデミー賞では第2次世界大戦を扱った「オッペンハイマー」や「関心領域」が高い評価を得た。このような映画が撮影され、世界中で公開され見られているのは、戦争の危機感があるからだと思う。
 映画は人の心を動かす力が大きく、大衆化する中で、戦争の道具として利用された例は多い。そういう力があることを絶対に知っておかなければならない。
 日本の戦争映画は数々の作品があるが、三つの大きなテーマは「原爆」「悲惨な戦場」「軍隊内の暴力・不条理」と言える。中でも原爆の映画は日本でしか作れないし、日本人でしか伝えられないことがある。日本が戦争加害者だった面もあり、加害者の視点が欠如していると批判される作品もあるが、1本の作品で全てを描くことはできず、それで価値を即断するのは賛成できない。
 最大の問題は、自身の体験で戦争を語り継げる人が間もなくいなくなることだ。戦争を知らないのに、威勢のいい言葉で戦争を語る人が出てくるかもしれない。戦争を知らない世代が戦争を伝える作品も増えている。若い人の取り組みが大切だ。若い人から信頼されている皆さんが、今日話したことを伝えてほしい。

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