北日本四政経懇話会

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北日本政経懇話会

北日本政経懇話会事務局: 北日本新聞社事業局内
〒930-0094 富山市安住町2-14 [電話]076-445-3369 [ファクス]076-431-1924
9:00~17:00(土日祝日のぞく)

次回例会のご案内

【日時】令和7年6月25日(水)正午
【会場】ホテルグランテラス富山
【演題】「戦後80年の政治をどう捉えるか」
【講師】御厨 貴 氏(政治学者、東京大学名誉教授、東京大学先端科学技術研究センターフェロー)
◆プロフィール
1951年東京生まれ。東京大学法学部卒業。専門は近代日本政治史、オーラル・ヒストリー。東京都立大学教授、政策研究大学院大学教授、東京大学先端科学技術研究センター教授、放送大学教授などを歴任し、2018年9月までTBS『時事放談』キャスターを務める。東京大学先端科学技術研究センターフェロー、サントリーホールディングス取締役。

これまでの例会

北日本政経懇話会5月例会

【日時】令和7年5月23日(金)正午
【会場】ANAクラウンプラザホテル富山
【講師】井手英策 氏(慶応義塾大学経済学部教授)
【演題】「日本財政の進路~脱『成長依存』を手がかりに」
 北日本政経懇話会は23日、富山市のANAクラウンプラザホテル富山で5月例会を開き、慶応大学経済学部教授の井手英策氏が「日本財政の進路~脱『成長依存』を手がかりに」と題して講演した。今夏の参院選に向け、各党が打ち出している減税や給付を目先の議論になっていると指摘。「国民から集めた税金をどう使い、どんな社会をつくるかが本質だ」と大局的な視点の重要性を説いた。

■税金 弱者支える財源
 
 平成の間に日本で何が起きたか。1世帯当たりの平均所得は1990年代後半をピークに停滞している。世界企業時価総額ランキングを見ると、平成初頭は上位50社のうち32社を日本企業が占めていたが、現在トップ50に入るのはトヨタ自動車のみだ。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表する世界競争力ランキングは1位から38位に転落した。〝発展途上国化〟が進んだと言わざるを得ない。
 日本は諸外国と比べて高齢者向けの社会保障が手厚いものの、シングルマザーや障害者、失業者らへの支援は手薄で、現役世代に対して冷淡だ。自身も2011年に過労で倒れ、妻が専業主婦にもかかわらず仕事ができない時期があった。「個人の運が悪ければ、今の日本社会では簡単に絶望してしまう」と痛感した。
 財政とは一人一人の手元のお金を増やすためではなく、人々が連帯する手段だと思う。所得に占める税金の割合を「国民負担率」と言うが、本来税金は国民の利益のために徴収するものであり「国民受益率」と言い換えられる。税金は立場の弱い人を社会で支えることを目的とした財源だ。減税は「お金を渡す代わりに、何かが起こっても自己責任だ」と見放すことにもつながりかねない。
 防衛費が急増し、国民の監視の及ばないところで政府の債務が膨らんでいる。国が人々の格差を小さくすることへの意欲を失っているために、弱い立場の人に無関心な〝分断社会〟が生まれている。「税金を正しく取って正しく使う」という当たり前のことを言える政治家がほとんどいないことこそ、日本の本質的な問題だろう。

■交代会員2人紹介

 交代会員として、伊藤園富山支店の井戸上亮支店長、山田写真製版所の山田康智社長が紹介された。

■次回は御厨貴氏
 6月例会は6月25日に富山市のホテルグランテラス富山であり、政治学者で東京大学名誉教授、同大学先端科学技術研究センターフェローの御厨貴氏が「戦後80年の政治をどう捉えるか」と題して講演する。問い合わせは北日本新聞社事業局、電話076(445)3369。

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