北日本四政経懇話会

となみ政経懇話会

となみ政経懇話会事務局: 北日本新聞社砺波支社内
〒939-1363 砺波市太郎丸2-129 [電話]0763-32-2012 [ファクス]0763-33-1033

となみ政経懇話会11月例会

「映像で考えた戦争といのち」

【日時】令和7年11月13日(木) 正午
【会場】TONAMI翔凜館
【講師】河邑厚徳氏(映画監督、元NHKエグゼクティブプロデューサー)
【演題】「映像で考えた戦争といのち」
 となみ政経懇話会11月例会は13日、砺波市のTONAMI翔凜館で開かれ、映画監督で元NHKエグゼクティブプロデューサーの河邑厚徳氏が「映像で考えた戦争といのち」をテーマに講演した。戦後80年の節目を迎え「平和は与えられるものではなく、一人一人の努力がないと失われていく」と強調した。
 戦後の1948年に生まれた。戦争を知らない世代だからこそ、戦争とは何かを強く考える動機になった。
 最初に手がけた番組が「私の太平洋戦争」(1979年)だ。戦時中の短歌を通して戦争をあぶりだそうと考えた。歴史資料や体験者の証言からの切り口ではなく、市井に生きる人たちの本音にスポットを当てた。
 「夫とのる 最後とならん 夜の汽車に あたたかき牛乳 分けてのみたり」
 召集令状が届いた夫との最後の旅で、牛乳を買って2人で飲んだことだけを詠んだ歌だ。情景が目に浮かび、感動を覚えた。夫はフィリピンで行方不明になり、妻には戦死公報が届いた。
 取材の際、妻は「何の証拠もない公報を渡されても、夫の死を信じることはできない。今でも帰りを待っている」と話した。普通の人はこんな風に戦争を受け止めているのか、と教えられた。
 がんが日本人の死亡原因の1位になった年に制作したドキュメンタリー番組「がん宣告」(1981年)は、版画家の生きざまを追った。命と死の問題に向き合ったこの2作が、長く続く仕事の原点になった。
 2023年にはドキュメンタリー映画「沖縄戦の図」を作った。「原爆の図」などで知られる画家が描いた絵画14部を基に戦争の記憶を伝えた。
 平和や命の問題をライフワークにしてきた。平和はつくり続けようとする行為がないと、保つことはできない。生についても、誰しも死から逃れることはできない。人は必ず死ぬ存在であるということを前提に、どう生きるのかを問い続けることが重要だ。

←前のページにもどる

ページトップ