となみ政経懇話会
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となみ政経懇話会10月例会
「五ツ星お米マイスターが見た令和のコメ騒動」

【日時】令和7年10月17日(金) 正午
【会場】TONAMI翔凜館
【講師】西島豊造氏(株式会社スズノブ代表取締役、五ツ星お米マイスター)
【演題】「五ツ星お米マイスターが見た令和のコメ騒動」
となみ政経懇話会10月例会は17日、砺波市のTONAMI翔凜館で開かれ、スズノブ代表取締役で五ツ星お米マイスターの西島豊造氏が「五ツ星お米マイスターが見た令和のコメ騒動」と題して講演した。米価高騰の経緯について、政府が需給を見誤ったことや報道の過熱によって「バイヤーや消費者が産地に直接買いに行く動きが広がり、従来の流通ルートが機能しなくなった」と説明。米離れを防ぐため、適正な価格水準とする必要性を訴えた。
令和の米騒動は終わっておらず、むしろ悪化している。いま5キロで千円台の米は全くなく、4千円を超えるのが当たり前の状況だ。
背景には、政府が米の需要を長年見誤ったことがある。米の消費量は減っているとしてきたが、一般家庭の消費量は伸びていると感じていた。インバウンドの実態も把握できていなかった。農家による直接販売やふるさと納税、ネット購入が増え、全体を把握するのは不可能になった。
供給面では米の生産調整が続いてきた。さらに作況指数は実態を反映しておらず、流通量の実感は例年、政府が示す数字より2割ほど少ない。おととしは明らかに作況指数の指標より3割少なかった。
お盆は新米と古米の入れ替え時期で、在庫も少なくしている。働き方改革の影響で物流が減り、昨夏は東京のスーパーで一時的に品薄となったのだが、報道によって過熱してしまった。ちょうど稲刈り時期と重なり、バイヤーや消費者が高値で産地から直接購入する動きが広がった。JAの概算金よりも高い価格を提示し、価格競争が起こってしまった。従来の流通ルートが機能しなくなり、今年も同様の状況だ。裏のルートに米が流れ、価格もバブル的に値上がりしている。
備蓄米の在庫がなくなると米国のカルローズが最も安くなり、日本の米は売れなくなる恐れがある。スーパーでの適正価格は5キロ当たり平均3500円と考えている。消費者に食べてもらうためにも、価格水準を下げなければいけない。
富山の米はとてもレベルが高い。「富富富」はあっさりとして、冷たいおかずや白身魚との相性は抜群。高温でも品質を保つことができるほか、いもち病に強く農薬の使用量を減らせるなどの特長があるので、SDGs(持続可能な開発目標)の視点に当てはめて魅力を発信するのはどうか。現在の日本には、さまざまなニーズがある。熱量を持ってPRしてほしい。
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