北日本政経懇話会
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北日本政経懇話会10月例会
「上手な休養の実践による企業力の向上」

【日時】令和7年10月22日(水)正午
【会場】オークスカナルパークホテル富山
【講師】片野 秀樹 氏(医学博士)
【演題】「上手な休養の実践による企業力の向上」
北日本政経懇話会は22日、富山市のオークスカナルパークホテル富山で10月例会を開き、医学博士の片野秀樹氏が「上手な休養の実践による企業力の向上」と題して講演した。片野氏は、効果的な休養を取ることで生産性を高められると指摘。「休むイコール悪いこと、という考え方は変えた方がよい。休養は『リカバリー』。攻めの休養に取り組むべきだ」と語った。
■オフ優先の発想重要
一般社団法人 日本リカバリー協会代表理事を務め、「休養学」を提唱している。休むことに前向きになってもらえるよう情報発信し、休み方の専門家の育成にも取り組んでいる。
企業は、社員1人につき年間で約72万円の健康関連コストを負担しているというデータがある。その約7割の56万円を占めるのが、出社していても万全でない状態に対するコスト。疲労がたまっている状態のことで、健康関連コストを抑え、生産性を高めるためにも、疲労に向き合わなければならない。疲労とは「このままでは病気になる」と、体が出しているサインだ。
OECD(経済協力開発機構)の加盟国の年間の平均労働時間を見ると、日本は働き方改革が進んだことで平均値を下回り、韓国の方が長くなっている。一方、日本は他国に比べて睡眠時間が短い。「プライベートの時間が増えたら何をしたいか」と尋ねた調査で、日本は「休息・睡眠」という回答が多かったが、韓国は「運動」、ドイツは「友人・恋人と過ごす」だった。海外にはさまざまな休み方があるが、日本では「休むことは寝ること」というガラパゴス化した状況にある。
疲労による活動能力の減退が起きれば、「攻めの休養」によって活力のある状態にリカバリーし、次の活動につなげるサイクルにしていかなければならない。
活力を得られる攻めの休養は、体を安静にしたり運動したり、食事を抑えたりする「生理的休養」、人との親交や娯楽などでストレスを切り離す「心理的休養」、旅行など外部環境を変える「社会的休養」の三つに分けている。自分の休養行動がどのタイプなのか意識することで、再現できるようになる。こうして自分に合った有効な方法で休養を取り、積み重ねることが大切だ。
アスリートは最高のパフォーマンスをするためにオフをどう過ごすか真剣に考える。我々も「オフファースト」の発想で、次のためにいかに活力を高められるか、仕事が終わった瞬間から休養優先で考えたい。

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