北日本四政経懇話会

北日本政経懇話会

北日本政経懇話会事務局: 北日本新聞社事業局内
〒930-0094 富山市安住町2-14 [電話]076-445-3369 [ファクス]076-445-3559
9:00~17:00(土日祝日のぞく)

北日本政経懇話会

「習近平新体制と日中関係の行方」

【日時】平成30年9月26日(水)正午から
【会場】ANAクラウンプラザホテル富山
【講師】丹羽宇一郎氏(日中友好協会会長、元駐中国全権大使、前伊藤忠商事会長)
【演題】「習近平新体制と日中関係の行方」
 北日本政経懇話会9月例会は26日、富山市のANAクラウンプラザホテル富山で開かれ、元駐中国大使で日中友好協会長の丹羽宇一郎氏が「習近平(しゅうきんぺい)新体制と日中関係の行方」と題して講演した。米中貿易摩擦に影響を及ぼしている米国の保護主義的な政策について「自国の産業のためだろうが、大きな失敗だ」と批判し、「日本はどちらに付くか見極めなければならない」と語った。

▽長期的に中国勝つ
 習近平氏は、私が大使の職から離れた2012年に中国国家主席に就いた。「チャイナセブン」と呼ばれる現体制の中国共産党政治局常務委員7人の中でも、習主席が特に権限を持っている。政治局委員25人のうち20人ほどは習主席の息のかかった人物だ。
 これだけの権力を掌握できた理由は三つ。軍の改革と大規模な綱紀粛正に加え、10年からの10年間で平均経済成長率6.5%を維持しようとしたこと。経済成長率は達成が確実で、国民の生活が豊かになったことは間違いない。
 では、これから中国は強大化していくだろうか。経済協力開発機構(OECD)の調査では、中国の科学者の数は世界トップの167万人で、米国は137万人。米国への留学生108万人のうち国別で最も多いのは中国の35万人だ。米国は自国の先端技術が中国に流出するのではないかと焦っており、このことが米中貿易に影響している。
 トランプ米大統領は自国の技術を守り、産業を保護しようとしているが、技術は本来流出を免れないものであり、保護は競争力の低下を生む。米国の産業は衰退し、長期的に見れば中国が勝つのではないか。
 日本はどちらに付くか的確に判断しなければならない。米国べったりにならないことが重要だ。

▽日本人の力生かせ
 一方で心配なのは日本の教育だ。米国への留学者数で言えば、日本は1万6千人で中国の5%にすぎない。このような状況で新技術にどれだけ踏み込んでいけるか。
 ただ、日本は一般的な教育のレベルが高い。中間的な労働者による質の高い技術が強みだ。まだまだ日本人の力を生かし、世界に冠たる力を見せることはできる。

←前のページにもどる

ページトップ