北日本四政経懇話会

にいかわ政経懇話会6月例会

日本人が忘れてしまったこと

【日時】令和元年6月13日(木)正午~
【会場】ホテルグランミラージュ
【講師】宮田 修氏(宮司。元NHKアナウンサー)
【演題】日本人が忘れてしまったこと
 にいかわ政経懇話会の6月例会は13日、魚津市のホテルグランミラージュで開かれ、宮司で元NHKアナウンサーの宮田修氏が「日本人が忘れてしまったこと」と題して講演した。宮司になる勉強の中で、倫理観や生命観など伝統的な考え方が戦後失われたことに気付いたとし、「DNAに書き込まれた特質を大事にした方が幸せになれるのではないか」と述べた。

♢「中今」を生きている
 顔が広く知られているアナウンサーはストレスがたまる。横断歩道以外で道路を渡って勤め先に苦情の電話を掛けられた同僚がいた。
 休みは田舎でのんびりしようと千葉県で古民家を借り、東京にあった自宅から妻と通って野菜作りなどでストレスを解消していた。たまたま大家が宮司で後継者がいなかった。「人助けだと思って継いでほしい」と頼まれ、引き受けた。
 神職の資格は通信教育で55歳の時に得た。仏教にはお経、キリスト教には聖書、イスラム教にはコーランと教典はあるが神道にはない。古事記や日本書紀、新元号「令和」の出典となった万葉集などを読み、日本人の伝統的な考え方をくみ取るのが勉強だ。
 コメを食べて命をつないできた民族だ。共同体をつくり、みんなで田植えをし、稲刈りをした。共同体を豊かにするため、それぞれが自分に何ができるのか考えた。それら日本人の考え方が戦後、大きく変わったことに気付いた。
 一番驚いたのは命に対してだ。自分の命は自分だけのものではなかった。両親や祖父母、先祖という無数の命があったからこそ自分がいて、配偶者を得て子、孫へと引き継いでいくものだと捉えていた。悠久の時の流れの中の今を生きているということで、「『中今(なかいま)』を生きる」と考えた。親が子を、子が親を殺すなどあり得なかった。
 労働についてもそうだ。働くとは神がやることなのだが、忙しいので私たちに任されていると考えた。だから働くことは喜びだった。
 日本人のDNAに書き込まれた特質を大事にした方が幸せになれるのではないかと思う。昔の考え方をもう一回点検したい。

←前のページにもどる

ページトップ