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北日本政経懇話会 6月特別例会

「女性がテレビで働くということ」

【日時】6月17日(金)正午
【会場】ANAクラウンプラザホテル富山
【講師】安藤 優子 氏(キャスター、ジャーナリスト)
【演題】「女性がテレビで働くということ」
北日本政経懇話会6月特別例会は17日、ANAクラウンプラザホテル富山で開かれ、キャスターでジャーナリストの安藤優子氏が「女性がテレビで働くということ」と題して講演した。世界各地での取材の体験談を交えながら「現場の声に耳を傾け、問い掛け続けることがジャーナリズムの原点だ」と述べた。
 
22日に公示される参院選は女性活躍が大きな争点になっており、女性の候補者が過去最多となる見通しだ。2018年に男女の候補者数が均等になることを目指す「政治分野の男女共同参画推進法」が施行されたが、政党への罰則規定がないため、その後の選挙でも変化は見られなかった。今回こそ女性議員が増えるかどうか、注目している。
 テレビ局でアルバイトしていた学生の頃、アシスタントとして報道番組に出演していた。アシスタントといっても、仕事は司会者の隣でほほ笑みながらうなずくだけ。刺し身に添えられたプラスチックの花のように「何の役にも立たず、ただそこにあるだけの添え物」といった存在だった。
 そんなある日、局のプロデューサーに突然指示され、初めて取材に行くことになった。相手は当時、自民党の幹事長だった金丸信さん。〝テレビ嫌い〟と言われていた金丸さんは最初は相手にしてくれなかったが、帰り際にカメラに向かってコメントしてくれた。局に戻って報告すると、プロデューサーは「政治家は若いお姉ちゃんが好きだからね」と一言。その日をきっかけに「若いから」「女性だから」といった物差しで判断されたくないと思うようになり、女性性を封印して働くようになった。
 アパルトヘイト(人種隔離)撤廃直後の南アフリカを取材した時、ある黒人の少女と出会った。「私とあなたは肌の色が違うけど、それは問題?」と彼女に尋ねると「肌の色の違いはただの違いで、問題ではない」と返ってきた。人種や性別、障害の有無などは単なる違いで、それを問題とすること自体が誤りだと気付かされた。今もジェンダー平等などを考える時、彼女の言葉を思い出す。
 キャスターになって40年以上がたった。現場の声に耳を傾け、問い掛け続けることがジャーナリズムの原点。臆することなく、社会に疑問を投げ掛けるジャーナリストであり続けたい。

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