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北日本政経懇話会 11月例会

ロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障

【日時】11月24日(木)正午~
【会場】オークスカナルパークホテル富山
【講師】小泉 悠 氏 (東京大学先端科学技術研究センター 専任講師)
【演題】ロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障
<北日本政経懇話会11月例会> 東京大学先端科学技術研究センター専任講師 小泉悠氏 演題「ロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障」 冬場 激しい戦闘に

北日本政経懇話会の11月例会が24日、富山市のオークスカナルパークホテル富山であり、東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏が「ロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障」と題して講演した。ロシアのウクライナ侵攻の戦況について「寒さで地面が固まる冬場は大規模な作戦が可能。激しい戦闘が続く」との考えを示した。
 「ロシアが悪で、ウクライナは正義なのか」という質問をよく受ける。妻はロシア人で、娘はモスクワで生まれた。友人も多く、ロシア的な考え方や言い分があるのも分かる。だが今回は正当化できない。
 ロシアはなぜこんなことをしたのか。プーチン氏は昨年7月に発表した論文で、歴史的にロシア人とウクライナ人は同じ民族なのに、旧ソ連の民族政策でばらばらになったと主張。もう一度ロシアに戻るべきという考えで侵攻を始めたとみられる。身勝手な話だ。
 だが、ロシアにとって損か得かというと、損だ。現在受けている経済制裁の数は世界1位。中立だった欧州2カ国も北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請した。農工業が盛んなウクライナを手に入れたいのかとも考えたが、戦争で荒廃した。プーチン氏の民族主義的な野望くらいしか得られるものはない。
 ウクライナは侵攻に対し、驚異的な粘りをみせた。国民を総動員して戦力を増強。ゼレンスキー大統領は7月に「100万人が戦っている」と述べた。西側諸国からも手厚い軍事援助を受ける。一方、プーチン氏は「特別軍事作戦」と位置付けたため、国民を動員できず、兵力で圧倒的な差が出た。
 ウクライナは夏以降反撃に転じ、ここ2ケ月はロシアが劣勢だ。問題はこの先。プーチン氏は9月に部分動員令を出し、30万人超を集めた。どのタイミングで投入するか、情報戦の時期に入っているだろう。冬の間は激しい戦闘が続くとみられる。寒さで地面が固まる冬場は、大規模な軍事作戦が展開できるからだ。
 残念ながら、この戦争は簡単には終わらないだろう。現地には氷点下の中で電気も使えない人や、国外に逃れざるを得ない人がいる。支援のため、何ができるか一緒に考えてほしい。

講演に先立ち、新入会員の寺腰一氏と、交代会員の庵栄伸富山商工会議所会頭、高倉康氏豊富産業社長が紹介された。

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