北日本四政経懇話会

にいかわ政経懇話会9月例会

「日本の危機管理の現状と課題」

【日時】令和4年9月28日(水)正午~
【会場】ホテルアクア黒部
【講師】高橋 清孝氏(日本製鉄顧問、元警視総監)
【演題】「日本の危機管理の現状と課題」
 にいかわ政経懇話会は28日、黒部市のホテルアクア黒部で9月例会を開き、元警視総監で日本製鉄顧問の高橋清孝氏が「日本の危機管理の現状と課題」と題して講演した。内閣危機管理監を務めた経験を踏まえ、「危機を想定した正しい憂いを持つことが必要」と強調。安倍晋三元首相銃撃事件については警備の油断を指摘した。

◇憂いなければ備えなし

 銃撃事件は、長年警備に関わってきた者として、残念で悔しい思いを抱いている。警護対象者の安全を守るどころか命を守ることができず、完全な失敗だった。360度から狙われる街頭演説場所を選定したこと、警護員や警戒員の配置、人数、対応は的確だったかなど具体的な問題点は幾つもあった。
 なぜ事件は起きたのか。これまで何事もなく警備してきたことからくる油断があったのだと思う。警備は何事もなく終わると100点という発想になってしまうが、必ずしもそうでない。悪さをする者が来なかっただけで、手を抜いていても終わることは多くある。無事に終わることは、かえって油断を生んでしまう。
 2008年のイージス艦あたごと漁船の衝突事故は油断があった事例の一つ。12年の広島刑務所受刑者脱走事件は、逃走防止の手だてがなされていたが当時は改修中で機能していなかった。
 静岡県の通園バス女児置き去り死亡事件はルールや仕組みがあるのに行われていなかった。警察、役所に限らず、民間の通常の仕事でも起こり得る。
 「備えあれば憂いなし」と昔から言われてきたが、どう備えるかは難しい。人間は危機意識の欠如、当事者意識の欠如に陥りがちだからだ。自分のところでは起きないと思ってしまう。「憂いなければ備えなし」と考え、正しい憂いを持つことが必要だ。

 交代会員として、石﨑正石﨑建材社社長、米屋慎一北星ゴム工業社長、小松一成藤堂工業社長、真鍋清信広進工業社長が紹介された。

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