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となみ政経懇話会10月例会

「コロナ禍後のいま、地域の鉄道の今後は ~城端線の話題を中心に~」

【日時】令和4年10月21日(金)正午~
【会場】ロイヤルホテル富山砺波
【講師】梅原 淳氏(鉄道ジャーナリスト)
【演題】「コロナ禍後のいま、地域の鉄道の今後は ~城端線の話題を中心に~」
 となみ政経懇話会の10月例会が21日、砺波市のロイヤルホテル富山砺波で開かれ、鉄道ジャーナリストの梅原淳氏が「コロナ禍後のいま、地域の鉄道の今後は~城端線の話題を中心に~」と題して講演した。県がJR西日本や沿線市と導入の可能性を議論している城端線・氷見線のLRT(次世代型路面電車)化について「莫大(ばくだい)な費用がかかり、長所も短所もある。城端線は現状のまま、少しずつ改善するのが現実的だ」と述べた。

◇LRTより現状改善
 日本に鉄道が開業して150周年の節目だが、地方では危機感の方が強いのではないか。4月にJR西日本がローカル線の見直しを表明したためだ。対象は平均通過人員2千人未満の路線。城端線は2924人、氷見線は2499人、高山線は2288人でいずれも該当しない。
 2015年の北陸新幹線開業により、北陸線が経営分離され、この3路線はJR西にとって「飛び地」となった。JR西がいつ「手放す」と言い出すか、地元には不安や心配がつきまとっているだろう。
 JR西が見直しを表明した背景には、コロナ禍による利用者数の激減がある。管内の1日当たりの鉄道利用者はコロナ禍前の524万人から390万人へ26%も減少。うち新幹線は59%減だ。新幹線の利益で地方の赤字路線を補塡(ほてん)する図式が成り立たなくなっている。
 JR西がすぐに城端線を廃止にするかと言えば、利用者数は鉄道事業を維持できる水準にある。それでも黒字路線ではなく、営業損失は多いはずだ。24年春の北陸新幹線敦賀延伸により、城端線のような「飛び地」路線がさらに増えることも、JR西にとっては不安要素だ。
 城端線は車両や線路、施設は現状のままで、コストの一部を沿線自治体などに負担してもらって存続の道を探ればいい。電気式のディーゼル車の導入が現実的だが、1両当たり1億9千万円と高い。
 LRT化は超低床で乗りやすく、駅(停留場)を増やせ、国の支援が得られる長所はある。一方で走行性能や乗り心地、輸送力、設備面で課題もあり、城端線では思ったほどのメリットはないだろう。
 地域の鉄道の黒字化は難しい。利用者がいることが存在意義と言え、城端線もイベントや観光列車の運行など「何かやっている」ことをアピールし、地域から忘れられないようにすることが重要だ。

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